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「鬼滅の刃」の書体で注目!毛筆書体の文化を後世に継承するフォントメーカー、昭和書体

こんにちは、FONTPLUSです。今回より、FONTPLUSでご利用いただけるフォントメーカー14社(2020年11月11日現在)を、1社ずつ月2回ぐらいの頻度で紹介していきたいと思います。

FONTPLUSは、9年前の2011年7月に、フォントワークス・イワタ・モトヤの3社と業務提携し、約200書体のWebフォントが使えるサービスとしてスタートしました。今年2020年で10年目、来年2021年7月でFONTPLUSは記念すべき10周年となります。

2020年11月の現在では、下記14フォントメーカー、計3,640書体のWebフォントをご利用いただけます。

フォントワークス、イワタ、モトヤ、白舟、方正(中国語)、Yoon Design(韓国語)、砧書体制作所、SCREENグラフィックソリューションズ、大日本印刷、凸版印刷、Jumgle System(タイ語、ベトナム語)、Monotype(欧文・他)、Fontrix(韓国語)、昭和書体

そういった意味で、FONTPLUSは「百貨店型のWebフォント・サービス」と表現すると分かりやすいかもしれません。今後も、新機能や新書体の追加、フォントメーカーの追加を検討しています。FONTPLUSについてご要望などがありましたらお気軽にご連絡ください。


フォントメーカー紹介/昭和書体

フォントメーカー各社のご紹介、記念すべき第1回は、2020年1月にFONTPLUSに加わった「昭和書体」です。

皆さんは、毛筆書体の専門フォントメーカー、昭和書体をご存じでしょうか?創業が2006年ですので、比較的新しいフォントメーカーになります。

昭和時代の懐かしさを感じられるスタンダードな毛筆書体「昭和楷書」や「昭和行書」をはじめ、毛筆書体として必須の「昭和寄席文字」「昭和ひげ文字」「昭和勘亭流」や、デザイン系の毛筆書体として人気の高い「バサころ」など、バラエティ豊かな毛筆書体のラインアップが魅力です。

昭和書体の魅力は、それだけではありません。昭和書体という会社の成り立ちも魅力的。昭和書体は、鹿児島県薩摩郡さつま町にあり、前身の会社は2代続いた看板屋です。

デジタルフォントやパソコンが普及していなかった時代は、筆で看板の文字を書く「看板文字職人」が全国各地で活躍していました。しかし、パソコンの普及により手書き時代からカッティングシートプロッターやインクジェット出力等のマシン時代へと変わっていきました。

昭和書体取締役会長の坂口茂樹氏によると、「便利になるその一方で、筆で直接文字を書くことが激減してしまい、毛筆で文字を書く看板職人の文字が将来、世の中から消えてしまうのではないだろうか」と危機感を覚えたそうです。実際に現在の手書き職人は全国でも希少な存在となっています。であれば、その手書き文字をデジタルフォント化して販売することが出来れば、それらの技能と文化を後世に残すことができると考えたそうです。

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昭和書体のデジタルフォントのすべての原字は、茂樹氏の父親である坂口綱紀(雅号:綱紀栄泉)氏が書いています。綱紀氏は書家だったかというとそうではなかったと。昔の看板職人は、映画看板、店舗、電柱の鉄板に直接、筆で文字を書くことが多かったようです。師匠が居なかった綱紀氏は、早朝の人が居ない時間に、それらの看板に半紙を貼り付け、写して持って帰り、毎日文字の勉強をしていたそうです。

その写した文字は2,000~3,000枚。ですが、ある日、町で大火事が発生し全て焼失。お手本が無くなり、これからどうしたらいいのかと意気消沈したと言います。ところが文字を書いてみると、頭の中に文字が浮かび上がって、これまでより上手く書けてしまったそうです。お手本が無くなった事で自分の文字を確立できたと。綱紀氏はその後、看板屋として50年以上に渡り筆を振るっていきました。

頭の中でハネ、払い、かすれ、全体の纏まりをイメージし、「文字を書いているのではなく、絵を描いている感覚」なのだそう。開発当初「父の字でフォントを作っている」と看板同業者に話をしたところ、「君は書けないのか」「うちは自分で書けるから」と否定的な意見が多かったと言います。しかし現在、看板屋の展示会などで紹介すると、「こういう字が欲しかった!」「先代までは書いていたのだけど、残しておけば良かった・・・」と皆一様に言うそうです。

そうしていると、2007年にゲーム業界大手コーエーテクモゲームスの「真・三國無双5」で採用が決まりした。ゲームに採用された事を宣伝してもいいか相談したところ、快諾してくださったそうです。それにより、看板業以外の多くの方が、昭和書体の文字に触れるようになり、その後、コンビニのおにぎりなどのパッケージ、アニメでも使われるようになったのです。

FONTPLUSと協業スタートするにあたり、昭和書体代表取締役の坂口太樹氏と、同取締役会長の坂口茂樹氏と何度かお会いしました。先代社長の綱紀栄泉氏の伝統、技能をデジタルフォントという形で受け継ぎ、日本の看板職人文字、毛筆書体の文化を後世に継承している姿は、とても素敵に感じました。

3人


書体のご紹介

昭和書体で最近特に注目を集めているフォントを、FONTPLUSためし書きで表現してみました。

サムネイル(杏寿を訂正)

https://fontplus.jp/?key=Rpos5JAXq9iCFMyQL5iI1UhgPYem2dT37j8ZRvPWUNBz_rxGQrv1eEgKc429ahI4

これはアニメ「鬼滅の刃」で実際に使用されたフォントです。「炎柱」など柱の名前は「陽炎書体」、「煉獄杏寿郎」などの名前は「闘龍書体」です。なお、胡蝶しのぶの「しのぶ」は「黒龍書体」が使用されているとのことです。

フォントは、情報を正確に伝えるための読みやすさや分かりやすさ(視認性や可読性)はもちろん重要ですが、言葉の持つイメージや感情を伝えるための情報伝達の役割も担っています。荒々しいフォント、柔らかいフォントなど、デザインにその文字をパッと添えるだけで一味。見た人に情景や物語を思い浮かべさせることが可能です。

昭和書体は、日本酒や焼酎のラベル、食品のパッケージ、映画や漫画のタイトル文字、テレビのバラエティ番組のテロップや、アニメやゲームなど、デジタルコンテンツ分野で数多く使用されています。先ほどご紹介した大人気アニメ「鬼滅の刃」にも昭和書体の文字がたくさん使用されています。

鹿児島県さつま町にて親子3代で経営するフォントメーカー、昭和書体の素敵な文字たちを、FONTPLUSを使ってWebフォントとして感情表現していただけるとうれしいです。

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昭和書体のフォント一覧

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コメント (1)
日本の大切な文化が時を越えて、テクノロジーを使って未来に受け継がれていくことはこれからの日本の新しいスタイルの文化と言えるかも知れませんね。
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