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林洋介(HAUS)さんのためし書き #みんなのためし書き

今回の「みんなのためし書き」は、HAUSのUIデザイナー、プログラマーの林洋介さんです。林さんは、漫画レビューサイト「マンバ」のUIデザイン等、ウェブデザイン・開発などをされています。
そんな林さんは現在、数学を勉強中だそう。書体やレイアウトの静的な佇まいによって、数学の定義が、一篇の詩のように柔らかな雰囲気を醸し出す作品です。

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Q. なにをためし書きしましたか?
A.Wikipediaの「群(数学)」より「群」の定義を引用しました。

Q. ためし書きの文章に「群」を選んだ理由はありますか?
今、数学を勉強中というのがまず最初の理由です。
あとは、解説すれば誰でも理解できるシンプルな定義にも関わらず、広がりがあって、さまざまな世界に繋がるからです。例を挙げると、デザイナー的には壁紙やタイルなどのパターン、プログラマー的には公開鍵暗号の仕組みなどに繋がります。
リリアン・リーバー著『ガロアと群論』(みすず書房/新装版)での「群」の定義は、今回「ためし書き」した内容のようにシンプルに言い表したものではなく、数ページに渡って実例とともに説明しているものです(Wikipediaのこのページの質に関しては、信頼している数学の先生からのお墨付きもあります)。

Q. それをためし書きしたのはなぜですか?
A.『ガロアと群論』は、それまでに読んだ数学書と違ってラギッド組※で行間が広く、詩を読んでいるような気分になりました。
数学が嫌いな人にアプローチする手段として「クイズみたいに楽しく」とか「数式を使わず親しみやすく」というのはよくありますが、文字やレイアウトの佇まいによって、意外と数学に対する印象も変わるのではないか? と思ったからです。

Q. どんな点を気にして書きましたか?
A.詩を読んで想像を膨らますように、定義をじっと見つめて、そこから広がる世界に思いを馳せられるような文字組みを意識しました。

Q. どんな流れで組み立てていきましたか?
A.紙っぽい背景色を選び、Wikipediaから定義を引用。句読点をカンマとピリオドにし、字間と行間を広げてから配置を調整しました。

※ラギッド組とは、欧文組版において行末または行頭を揃えずに組む方法。右揃え、左揃えのこと。ラグ組とも呼ばれる(参考:『MORISAWA PASSPORT 英中韓組版ルールブック』p.12-13(PDF版p.13-14)。

使用したフォント:
イワタ明朝体
イワタ中明朝体

林洋介(HAUS)

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UIデザイナー、プログラマー。
https://h4us.jp/
https://hysysk.org/


FONTPLUS ためし書き


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