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こんにちは、あらためまして。FONTPLUSです。

はじめまして、もしくは、おひさしぶりです。FONTPLUSです。


実はちょっぴりベテランのサービスですが、note、はじめました。
今日は私たちの新しい取り組みをひとつ、ご紹介したいと思います。

ここでは、私たちが考えていること、それに基づいたアクション、ちょっとした裏話、役立つエピソードや情報をお届けしたいと思います。今日は、これから私たちが関わっていく取り組みのご紹介の前に、FONTPLUSが考えていることについて少しお話をさせてください。

・FONTPLUSについて
・私たちの特徴 〜 FONTPLUSは、あまり自分を語ってきませんでした。
・私たちの課題 〜 タイポグラフィをWebでやる、ということ。
・私たちの理想 〜 あたりまえを、もっとあたりまえにする。
・今日から始まったアクション 〜 Webタイポグラフィのリファレンス集。
・私たちの今後


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FONTPLUSについて

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「ネット」は、今や日常生活に欠かせないものになりました。こうして読んでいただいているnoteも、インターネットのいちサービスですね。今や私たちの生活はネットによって成り立っているものばかりです。つまり、インターネットは急速な浸透とともに、電気や水道のような社会のインフラとなりました。

FONTPLUSは、Web上で高品質な書体を自由に使えるサービスです。

私たちがインターネットを介して見ているWebサイトやWebサービスは、サーバーからさまざまなデータを見つけてきて、みなさんが今この文章を読んでくださっているデバイス ── PCやタブレット、スマートフォンなど ── で表示してはじめて閲覧できる仕組みになっています。

インターネットが人々の生活に浸透し始めたころ、通信回線の速度・容量は今に比べると非常に遅く、少ないものでした。ですので、すこしでも快適にページが読めるためには、「フォントそのもの」を文章や画像とともにダウンロードするという発想はありませんでした。フォントはデータとしてとても重たいのです。特に日本語フォントは、ラテン語圏と異なり何十倍ものサイズになるため独自の工夫を凝らす必要がありました。

テキストデータを文章として表現するための「書体」は、コンテンツではなかったのです。

つまり、Webを介して高品質なタイポグラフィを楽しむ体験を実現するには、それをデザインし、エンジニアリングし、サーバーから配信するだけではなく、(意図する表現や機能によっては)高品質なフォントデータもダウンロードする必要があるのです。そうでない場合、あなたの見ているデバイスの中にすでにあるフォントがその表示に使われます。

もともとデバイスに入っているフォントが低品質であるという意味ではありません。しかし、できるだけ汎用性を重視したものが厳選されて搭載されている、と言っても差し支えないでしょう。そのWebコンテンツにとって最適であるかどうか? という観点とは別のところで選ばれたフォントで、私たちのWeb表現は成り立ってきたのです。

Webの技術は、IoTという言葉とともに一般の生活者にも見えるかたちで拡張し始めています。2019年の今、FONTPLUSはあくまでも Webで発信をしたい方々、そしてWebを実際に制作する方々のためのサービスであり、まだまだ改善できる発展途上の技術です。
しかし本質的には、もっと先の未来を見据えていたい、と私たちは考えています。


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私たちの特徴

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FONTPLUSは、あまり自分を語ってきませんでした。

そんなFONTPLUSは、今年で8年目の、実は老舗のサービスです。昨年夏に大幅なサイトリニューアルをしましたが、その後も地道な改善と未来へ向けた議論を重ねてきました。私たちの価値は、

・さまざまなフォントベンダー/フォントデザイナーが集うことのできる開かれた場所
・Webサイトへの簡単な実装と一定品質の保証をする、磨き上げたダイナミック・サブセット技術
・小規模サイトはもちろん、大規模なシステム/サービス開発まで柔軟に対応できる強いシステム基盤

だと考えています。しかし率直なところ、私たちの持っている強みや思い描いている理想を、私たち自身が語ることはあまりありませんでした。その中で、サービスの特徴や使い方について具体的にPRしてくれたフォントおじさんの貢献は大きいものでした。

私たちが今、この記事を書いている背景もそこにあります。
FONTPLUSが考えていることを、私たち自身の言葉でみなさんにお伝えしたい。それがnoteを始めた最大の理由です。この場所で、私たちの考えていることを、少しずつですがみなさんにご紹介していきます。


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私たちの課題

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タイポグラフィをWebでやる、ということ。

とある人が、Webの本質は言葉だと言いました。Webサイトとは、もともとはテキストで書かれた文章が本体で、紐づけしたり、見栄えの調整やさまざまなプログラムを駆使したりして、多彩なかたちに表現したものです。つまり(繰り返しになりますが)Webの本質は文章であり、より基本的なタイポグラフィでもあるのです。

Webはタイポグラフィが9割。

今現在のWeb標準技術でタイポグラフィを突き詰めることは非常に困難です。見た目だけを表現するのなら、きれいにレイアウトした画像を貼ってしまえばよいでしょう。しかし、さまざまな属性の人・場所・デバイスで体験するWebのその本質は文章です。なめらかに形を変えて世界の果てまで飛んでいくことのできるWebの良さを発揮するためには、メモ帳に書かれた素朴なシンプルテキストだったものを、いかにそのままのかたちで表現力を高められるか? を考えることにあるのではないかと私たちは考えます。

すると、技術の壁に行き当たります。世界中で統一された規格であるWeb標準に準じて表現することで、そのページはインターネットを自由に駆け巡り、届けたい人のところまで飛んでいきます。しかし一方で、まだまだ標準技術では簡単に、満足のいくタイポグラフィが実現できない場合があります。これは仕方がないことですが、その標準規格やWebというメディアの特性と実際の体験とのバランスをどうしていくのかが、今のWebタイポグラフィの課題であり、楽しく興味深いところではないでしょうか。

今、タイポグラフィに取り組む意味。

しかし、私たちはこれから先のWebタイポグラフィについて、みなさんと一緒に開拓していきたいと考えています。

インターネットが完全にインフラとなり、メジャーな文化となった今、情報をただ伝搬すればいい時代ではありません。WebがWebであることのよさ ── Webだからこそのカルチャー、Webだからできる技術、Web技術をきっかけにした新たな社会 ── そういったものを推し進めていくために、これまで「付加価値」に過ぎなかったWebタイポグラフィにできることがたくさんあるはずです。Webフォントは、それを助ける技術になると信じています。


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私たちの理想

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あたりまえを、もっとあたりまえにする。

さきほど「Webタイポグラフィは付加価値」と書きました。
しかし、本当にそうでしょうか?
私たちはこう考えています。

Webはタイポグラフィで、もっと豊かになれる。

Webタイポグラフィについて考えるとき、これまでの歴史の中で積み上げられてきたものを再解釈し、今の情報社会に適したバランスで定着させていくことが必要です。インターネットの文化はもはやサブカルチャーではありません。ネット社会という言葉すら新鮮さを持たなくなった今、「できないけれど仕方ない」ことを、これからはあきらめない。正しい伝統と、正しさのない未来の間で、あたらしいバランスを見つけ出していきたいのです。

Webタイポグラフィには、まだ余地がたくさんあると考えています。Webの自由さを大切にしながら、情報インフラとしての責任を果たしながら、もっと文化的なあいまいさ、もしくは厳密さを共有することはできないでしょうか? それが、豊かさにつながっていくのではないでしょうか?

コミュニティとの繋がりから生まれるものへ。

FONTPLUSは「Web Typography Standards」というマニフェストを掲げながら、新しい文化やコミュニティを作り、貢献していきたいと考えています。そうすることで、ひいてはFONTPLUSを使っていただける、少なくとも技術的選択肢のひとつとして選んでいただける。そんな現在進行系の未来を作っていけたら、と思っています。

・なぜWebフォントが必要なのか、本当に必要なのか?
・「伝わる」ために「伝える」にはどうしたらいいんだろう?
・もっとカンタンに、もっと自由に、もっと丁寧なWebとは?
・もっと楽しく、効果的なタイポグラフィを考えられないか?

言い出すとキリがありません。

しかしこういったことを、まじめに、時には楽しく、みなさんと一緒に考えて実践していきたい。真摯でありたい。そういった「活動としてのFONTPLUS」を成長させていきたいと思います。私たちは、Webサービスではなくムーブメントになりたいのです。


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今日から始まったアクション

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Webタイポグラフィのリファレンスを日本語で。

Webタイポグラフィの基礎知識と実践
https://github.com/fontplus/web-typography-glossary

コードにふれる人、すべてのために。

インターネットを前提としたタイポグラフィの、基本的な情報を集約した場をつくる活動に協力していきます。

この活動では、Webエンジニアを中心に、コードを介してタイポグラフィに触れる方々のためのリファレンスサイトを日本語で運営していきます。これから広がっていくFONTPLUSの活動の、枝葉のひとつではありますが、あくまでもWebタイポグラフィの理論と実践のための、コミュニティとしての試みです。


知見を集約し、実務に役立て、進歩できる場を。

アクセスしやすさを優先し、Webフロントエンド開発における事実上のプラットフォームである GitHub 上ではじめることに。見出しとなる「インデックス」とトピックごとの「ドキュメント」の構成で、活動の中心となる編集者・執筆者を中心に、実践的な用語集を執筆・編纂していきます。まず基本的な言葉の整理からスタートし、徐々に拡充。現実的な記述例やバッドノウハウの指摘、よりよい実装のための周辺知識を取り込みながら、随時、増補改訂していくものです。Issue による開かれた議論も、徐々にではありますが進めていきたいと計画されています。


ライセンスはCC BY-NC-SA 4.0。よりオープンな形でWebタイポグラフィの知見を集約していく活動を、FONTPLUSは全面的にバックアップしていきます。


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私たちの今後

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今私たちは、サービスそのものやサービスサイトの改善を継続的に実施しています。また、より私たちの考えや工夫をWebに関わるみなさんに知っていただけるようなアクションも計画しています。

継続的なFONTPLUSの活動を、どうかチェックしてみて下さい。
インターネットとタイポグラフィ、そして私たちの社会にとって、よりよい未来を作っていきたいと思います。

みなさん、ぜひ、ご期待ください。

FONTPLUS


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